プロローグ1: なんでわたくしがあやまるんですの?
「今回の事で迷惑をかけたでしょ。みんなにあやまって!」
2016年7月の梅雨がまだ明けない頃。
わたくしの直属の上司であるところ課長、わたくしが「モラハラール」と呼びはじめた彼女が丸い目を開いてじろっと見ていったんですわ。
(はっ?)
”みんなにあやまれ”ってどういうことですの?と思いました。
あやまる理由ってどう考えてもつまらないことなんです。
わたくしの担当している書類倉庫に、他の部署の方が書類をもってくる。
あらかじめわたしたちが、そのことを把握していなかった、それで同じチームのメンバーに迷惑をかけた……というのが、「あやまる理由」らしいのです。
・事前に書類について把握している指示はなかった。
・書類をもってきたことであやまるほど重大過ぎる業務支障が発生してはいない
・あやまるという行為はわたくしの職場では行われたことは一度もない
完全に不当な謝罪要求でしたわ。
こう書くと「すみれは本当は悪い社員で、実際に謝る必要があったんじゃないの?」と思われるかも知れません。
たしかにそう言う方はおられます。
いまからお話しする「モラハラ」の被害者は「被害妄想をもったお方」と見た目の行動が同じ傾向だそうですの。被害妄想のお方というのは簡単に言えばクレーマー「1円を盗られたのに100万円を盗られた」と言ってしまうような感じでしょうか。
やっかいなのはモラハラをしている側(=加害側と被害者でないが静かなる加害者)から見て、モラハラを受けている側がクレーマーみたいに見えることですの。
誓って言いますわ。
わたくし達はクレーマーではありません。
仕方なく頭を下げたときの、心に渦巻くもやっとした気持ちはサイアクでしたわ。
頭を下げながら、これは特定の人物に不公平に扱う行為と実感しました。
しかし、やっかいなことはこれは暴力でも過激なパワハラやセクハラでもありません。
パワハラ未満の精神攻撃、だから……やっかいなんですわ。
こういったこと毎日されていますと逆に彼女が不幸な女性にしか見えませんわね。
こういうのモラハラをする側のずるいテクニックということを後でよくわかったんですわ。